1. はじめに:なぜ「無理しない」ができないのか
「無理をしないでください」
「頑張りすぎないように」
「休むことも大事ですよ」
支援先でも、周囲の人たちからも、私は何度もそう声をかけられてきました。
頭ではわかっています。
休むことの大切さも、無理しないことの必要性も、痛いほど理解しています。
でも、現実には休めませんでした。
それは、私の意志が弱いからでも、考え方が未熟だからでもありません。
──もっと、根本的な問題があったのです。
2. 休みたくても休めない「生活の不安」
私が止まれなかった一番の理由。
それは、「お金」でした。
もしも、働かなくても十分に生活できる収入があったなら。
もしも、明日の生活を心配しなくてもいい環境だったなら。
私は、こんなにも無理をして、苦しんで、自分を追い詰めることはなかったはずです。
「休め」と言われても、
生活が破綻したら、誰が責任を取ってくれるわけでもない。
生活の不安を抱えたまま、休むことなんてできるはずがなかったのです。
3. 低賃金求人への絶望
就労支援の中で、求人票を見るたびに、私は絶望していました。
「なぜ、こんなにも報酬が低いのか」
「この給料で、どうやって生きろというのか」
障害者雇用の求人には、月給10万円台のものも珍しくありません。
交通費すら満額支給されないこともある。
時給換算すれば、最低賃金ぎりぎり。
そんな現実を突きつけられるたびに、
私は思うのです。
──この世界では、生き延びるだけでも戦わなければならないのか、と。
4. 安心とは「心」だけじゃない、「生活」もだ
「心を大事にしましょう」
「無理しないで働きましょう」
きれいごとは、いくらでも言える。
でも、心だけでは生きていけない。
この世界では、お金がなければ生きられない。
心と生活。
どちらか一方ではダメなのです。
安心とは、「心の平穏」と「生活の安定」がそろって初めて成り立つものです。
私は、その両方を手に入れたい。
だから、ただ「休め」と言われるだけでは救われない。
私は、安心して暮らせるだけの収入と、無理しなくていい働き方の両方を求めています。
5. 私が本当に求めている未来
私が本当に欲しいのは、こんな未来です。
- 無理に走らなくてもいい。
- 急かされずに、じっくりと取り組める。
- 生活に困ることなく、安心して夜を迎えられる。
- 戦うためではなく、心を穏やかに生きるために働ける。
過去の怒りも、屈辱も、復讐心も。
それらに押されて生きてきた私だからこそ、
次は、「心から安心できる場所」を手に入れたいのです。
そして、そこで初めて、本当の意味で「休む」ことを覚えたい。
6. おわりに:心と生活、両方を守る生き方へ
今の私にはまだ、「完全な安心」はありません。
生活の不安も、心の傷も、まだ完全には癒えていない。
でも、私は進んでいます。
ただ働くために働くのではなく、
ただ生活のために無理をするのでもなく、
心と生活の両方を守る生き方を、私は探し続けています。
休むためには、まず安心できる生活が必要だ。
安心できる生活のためには、正当な報酬が必要だ。
それは、私がこれまでの痛みと努力から導き出した、たった一つの答えです。
そして、
私はあきらめない。
必ず、この手で、その未来をつかみ取りたい。
──それが、私が止まれなかった理由であり、これからも歩き続ける理由です。