🟦 はじめに:止まれない日々の中で
「休んでくださいね」
「無理しないで」
そう言われることが、私はとても多いです。
でも、それができるなら苦労はしません。
私は気づくと限界を超えるまで走っていて、倒れて初めて「休まなきゃ」と思う。
けれどその頃には、もう手遅れになっていることもあるのです。
今回は、そんな私が模索してきた「心を守るためのリセット術」について書いてみたいと思います。
🟦 心が“止まらない”メカニズム
私には、高次脳機能障害という障害があります。
その影響で、記憶の保持やタスクの切り替えに苦手さがあります。
- 一つの作業に過集中してしまう
- 中断すると、どこまでやったのか分からなくなる
- 何度も同じところをやり直してしまう
- 「あと少し」が止まらない
これらの特徴が重なることで、自分でも止まり方が分からなくなっていたのだと思います。
🟦 私が試した「心のリセット術」
✅ リセット術①:「作業に名前をつける」
今やっている作業を、心の中でこう呼びます。
「これはA書類作成のステップ2」「これはC作業の確認フェーズ」など。
そうすることで、自分がどこにいるのか、言葉で把握しやすくなります。
✅ リセット術②:「スケジュールに“止まる”時間を組み込む」
意志ではなく予定表やタイマーを使って強制的に区切りを作ります。
「午前は2本作業したら15分休憩」「12:30にはPCを閉じる」など、ルール化してしまいます。
✅ リセット術③:「頭ではなく、体に聞く」
疲れのサインは意外と体に出ます。
肩が凝ってきた、手が冷えてきた、呼吸が浅くなっている…そんなときは小休止の合図です。
✅ リセット術④:「怒りや焦りが出たら、一度離れる」
自分の感情に敏感になると「黄色信号」が見えてきます。
怒りや焦りが出てきたら、そのまま続けても良い成果は出ません。
潔く離れることで、パフォーマンスが戻ることもあります。
🟦 模擬就労で見えた突破口:フローチャートの力
実は、私にとって最も効果的だったリセット術があります。
それは、「図にする」という方法です。
就労移行支援の模擬就労で、複数の作業を処理する課題が出たとき、私はフローチャートを描くことにしました。
- 全体の作業の流れをまず図にする
- 今自分がどの段階をやっているのか示す
- 中断が入ったら、その位置を記録して新しい作業の図を書く
- 新しい作業が終わったら、元の図のどこに戻るのか明示する
この工夫によって、私は初めて「複数タスクを完走する」という経験ができたのです。
「今どこにいて、どこへ戻るのか」を可視化するだけで、これほどまでに安心して取り組めるとは、自分でも驚きでした。
🟦 「リセット」は敗北ではなく、戦略
かつての私は、「止まること=逃げ」「休むこと=甘え」だと思っていました。
でも今は少し違います。
リセットできることが、**持続して力を出し続けるための“戦略”**なんだと感じています。
「臥薪嘗胆」という言葉がありますが、あれも“伏して時を待つ”ことが重要なのです。
止まることができて、初めて次に進む力が戻ってくるのだと思います。
🟦 おわりに:自分を少しでも守るために
私は今、「休むこと」ではなく「止まれる仕組みを持つこと」に取り組んでいます。
それが、過去に振り回されない未来をつくる鍵になると信じているからです。
もし、あなたが「休めない人」「無理してしまう人」なら、私はこう問いかけたい。
まず、止まる練習から始めてみませんか?
止まることは、敗北ではありません。
心を守るための、大切な技術です。
※私は、翌日の自分がまた動き出せるように、“再起動の仕掛け”を毎日セットしておくようにしています。